建設業許可の専任技術者が退職した場合について

建設業許可・経審

建設業許可を取得しそれを維持していくためには、専任技術者の存在は欠かせません。もし、専任技術者が退職するようなことがあると、迅速に対応しなければ許可が取り消される恐れがあります。ここでは、専任技術者が退職する際の対処法と、経営者としての事前の対策について詳しく解説します。

専任技術者について

建設工事では請負契約が適正に締結・履行されるよう、500万円以上の工事を請け負うためには営業所ごとに一定の専門知識を持った専任技術者を配置する必要があります。

  1. 専任技術者には次のいずれかの条件が求められます。
    ① 許可業務について一定の国家資格等を保有していること。
    一定年数以上の実務経験があること。
  2. そして専任技術者はその営業所に常勤していることが必要です。

このように、専任技術者は建設業許可を受けるための要件になっています。従って、もし専任技術者が退職した場合、14日以内に新たな技術者を配置し、変更届を提出する必要があります。しかし、後任の技術者がすぐ見つかるとは限りません。その場合の対処の仕方を以下にご説明します。

専任技術者が退職した場合の対処法

専任技術者が退職した際には、以下の手順で迅速対応する必要があります。

変更届の提出

専任技術者が退職した場合、まず変更届を退職日から14日以内に提出する必要があります。この届出を怠ると法律違反となり、厳しい罰則を受ける可能性があります。変更届を提出するに当たっては、次の段取りで後任になる人がいるかどうかを確認して行ってください。

後任の確保

上記変更届の提出に合わせて、後任となる専任技術者を確保する必要があります。後任を見つける手段としては、以下の方法があります:

  1. 自社内の従業員を再確認

資格や経験を有する従業員がいないか確認します。

  1. 外部から採用

社内に該当する人がいない場合、資格や実務経験を有する人材を採用します。常勤の正社員として雇用する必要があります。

(後任がいない場合)廃業届の提出

どうしても後任が見つからない場合、許可を受けた建設業の廃業届を廃止から30日以内に提出します。この手続きにより許可は一旦失効しますが、後任を見つけ次第、再度許可申請を行うことが可能です。

後任がいない場合の注意点

建設業許可では、専任技術者が確保できない場合は許可が取り消されることになります。ただし、廃業届を提出しておけば許可取消後5年間再申請できないという欠格要件は適用されません。後任が見つかり次第、速やかに許可を再申請できるようになります。そういう意味でも、決められた届出はきちんと出しておきましょう。

なお、大きい工事はできませんが、請負金額が500万円未満の工事であれば許可取り消し後も続けることはできます。念のためですが、付け加えさせていただきます。

経営者として心がけたいこと

経営者としては突然の退職申出などはなんとしても避けたいところです。では、いくつか心がけたい点があるとすればどんなことでしょうか。

日頃から従業員と話をして、どんなことを考えているのか、不満はないか等コミュニケーションを欠かさないことが一つだと思います。また、社会保険の加入をはじめ福利厚生にも常に意識を向ける必要があります。

同時に、自社の専任技術者候補となる人を地道に育成していくことが重要です。従業員の資格取得を支援するとともに、従業員の各種業務についての経験年数を定期的にチェックしておくことなども大事なことではないでしょうか。

建設業許可全般について、当行政書士事務所が手続きのサポートを行います。期限が迫っている場合や手続きの進め方が分からない場合等、ぜひお気軽にご相談ください。

手島行政書士事務所
行政書士 手島昭夫
〒102-0084千代田区二番町9-3 THE BASE麹町 W-212
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