私の前の職場は、職員10人程度の小さなところですが、最低でも2人は家族に行方不明者がいました。行方不明者といっても、意外と身近にあります。このような場合、相続に当たってどういう点に注意したらよいのでしょうか。考え方は状況により以下のようになります。
1.行方不明でも、相続人が生きている限りは遺産分割協議から除外できない。
2.相続人が行方不明者の場合、具体的にどういう状況かを把握する。
(1)戸籍の附票をたどれば、現在住民票がどこにあるかはわかります。そこまで調べて連絡をとってみたか。
(2)たまに連絡があり、生きているようだが、住民票等から探してもわからない。
3.失踪宣告等
不在者の生死が7年間明らかでないとき等、利害関係人の請求で家庭裁判所に失踪宣告をすると、その人を死亡したものとして扱うことができる。
失踪宣告の場合は、その人は相続人ではなくなります。
上記2の(1)のようなケース、生きているようだけれど、連絡がとれていない場合、原則どおりの遺産分割をしたいのでれば、なんとかして連絡をとってみましょう。次に述べる不在者財産管理人等の選任による面倒な手続きは、なるべくないに越したことはありません。
上記2の(2)のようなケースでは、利害関係人が家庭裁判所に申し立てて不在者財産管理人を選任してもらうことになります。その上で、不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加します。不在者の財産を管理するために必要な費用(不在者財産管理人に対する報酬を含む)に不足がある場合は、裁判所から不足分相当額を予納金として納付するよう、他の相続人に求められることがあります。
相続人の中に行方不明者がいるような場合は、このような面倒をなく済ませるために、遺言を作っておく方法も有効です。遺産分割協議によらず相続手続きを進められます。
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