事業所得がどれくらいになったら、医療法人化を考えたらいいのか
一般的には、事業所得が1,800万円くらいになったら、考えてもいいのではないかと言われます。また、社会保険診療報酬が5,000万円を超えると、経費計算の特例が適用されなくなることから、社会保険診療報酬5,000万円を目安とすることもあります。(いずれも、節税を念頭においたものですので、詳しくは、顧問の税理士の先生にご相談ください。)
医療法人は、非営利法人として剰余金の配当が禁止されている(法54条)と聞きます。将来、閉院するときには、財産は国のものになってしまうのか。
理事長や理事に計画的に役員報酬を支払い、退職金を支払うことで、余分な財産を残さないようにすることができます。
医療法人社団の「基金」とはどういうものですか。
基金とは、医療法人社団に拠出された金銭その他の財産であり、医療法人が拠出者に対して、定款に定めるところに従い返還義務を負うものです。基金制度を採用する場合は、定款に定める必要があります。
基金の返還は、定時社員総会の決議によって行わなければなりません。基金の返還に係る債権には利息を付すことができません。また、返還には、貸借対照表上の純資産額が一定の要件を満たしていることなどの条件もあります。
医療法人の拠出(寄付)財産について教えてください。
医療法人は、開設する診療所等の業務を行うために必要な施設、設備又は資産を有している必要があり、それに見合った財産の拠出(寄付)が必要です。
財産の種類
基本財産・・・不動産等の重要な資産
通常財産・・・基本財産以外の資産
土地、建物、現預金、医療用機械備品、銃器・備品、保証金等が該当します。
なお、運転資金として、初年度年間支出予算の2か月分に相当する額以上の流動資産(現金、医業未収金等)が必要です。
※基本財産の処分には定款変更を要しますので、基本財産での拠出には注意が必要です。
医療法人社団の社員について、人数、年齢等の要件を教えて欲しい。
東京都においては、「医療法人設立の手引き」等により社員は3人以上必要とされています。また、特に年齢制限はありませんが、義務教育終了程度以上の判断能力を有することが求められています。営利法人は社員にはなれません。なお、社員は、社員総会において、1人1個の議決権を有します。
医療法人社団の役員について、人数、年齢等の要件を教えてください。
医療法人社団は、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。(法46条の5第1項)自然人に限られ、また、未成年者が役員に就任するのは適当ではないとされています。(個別のケースについては、都道府県の窓口で相談してみるのも方法です。)
なお、医療法人と取引のある営利法人の役員が、医療法人の役員に就任することは原則認められません。理事のうち1人を理事長として、医師又は歯科医師の中から選出します。
監事は、当該医療法人の理事又は職員を兼ねることができません。(法第46条の5第8項)
次のものは、監事に就任することはできません。
・医療法人の理事(理事長含む)の親族
・医療法人に拠出している個人
・医療法人と取引関係・顧問関係のある個人。法人の従業員
例:医療法人の会計・税務を担当している税理士、税理士事務所等の従業員
なお、形式的に選任するのではなく、財務諸表を監査しうる者を選任することが求められます。
ご不明な点も多いかと思います。お電話(03-5776-2463)あるいはメール等でお気軽にご相談ください。
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